うつろぐ

躁うつ病とともにゆらりと生きてます

オーナー

「今日はどうされます?」「今日はスッキリ晴れて、良かったですね」

そんな会話を一言、二言交わしたかもしれない。
茶髪にパーマをかけて月日が経ったのか、後ろを荒げにゴムでくくっていた。
美容室のスタッフはいつもオシャレだと言うが、オーナーはいつもティーシャツに半パン、みたいなラフな格好で気が抜けて喋りやすい。
とても優しくて、気が利いてて、大らかな感じのオーナーだった。
洗髪はいつもオーナー、ハサミを入れるのはよく喋る奥さん。2人にはたいぞーさんと同じバスケ部に通う女の子がいた。歳いって出来た子だから、その子を溺愛していた。

うちの父もオーナーにはお世話になった。
ハサミを入れる、会話をする、どれも20年多くのお客さんを相手にしてきた、スペシャリストで貫禄すら感じられた。そのプロの腕前に男性客女性客も子供も虜になった。
半年前だったか、奥さんから、オーナーがいなかったもんだから聞いてみると、ちょっと肺の裏に影が見えて、今検査入院してる、と言ってた。

それから半年後の突然の訃報。
オーナーはスポーツがとにかく好きだった。
病気には縁遠い人だった。
と、奥さんが言ってた。
早かった。
若かった。
悔しい。

小さな家族3人は本当に仲が良かった。
神様は何故、この幸せな家族に悲劇をもたらすのだろう。

あまりに酷で、何も言葉が出てこない。